roles 04. 日本料理屋の社員からカフェのオーナーに 接客の仕事の多様なカタチ

和田さんが最初に就いたのは、日本料理屋での接客の仕事でした。
決め事の多い仕事に疲れきったある日、たまたま訪れたカフェでもっと自由な接客の世界もあることを知り、そこでアルバイトを始めます。
その後、カフェの移転を機にその店を引き継いでオーナーに。
正社員からアルバイトになることにも、カフェを引き継ぐことにも、躊躇はなかったという和田さん。
彼女が飲食店の接客の中で経験してきた様々な仕事のカタチは、あなたが自分らしい働き方を見つけるきっかけになるかもしれません!
聞き手:今國朋 編集・構成:木村恵理

今回のroles人 … 和田里美

みんなのroles〜100人インタビュー

1980年うまれ
ホテルの専門学校を卒業後、日本料理屋に就職。
作法が重視される環境で接客を行い、おもてなしの本質を学ぶ。
その後、カフェでのアルバイトを経てその店を引き継ぎ、現在はカフェulalakaのオーナー。

「こんな世界があるんだ!」って、刺激的でした

今國(以下 今):高校を卒業した後、専門学校に入学されたんですか。

和田(以下 和):はい。ホテルの専門学校に行って、その後は日本料理のお店で接客の仕事をしていました。

今:ホテルの専門学校に行ったのに、ホテルには就職しなかったんですね。

和:そうですね(笑)。その専門学校では夏休みや冬休みにホテルに実習に行くことになっていて、私が最初に行ったのは長野にあるホテルでした。フロントやレストランなど、とにかく全ての仕事を体験したのですが、その中で1か月ぐらいさせてもらった和食のレストランの仕事がものすごく面白かったんです。その時に、やるんだったら和食だなと思って。それで日本料理のお店に就職したんです。

今:日本料理屋での仕事はどうでしたか。

和:正社員で5、6年いたんですけど、ストレスが多かったですね。最初に配属になったお店は楽しかったんですけど、次に配属されたのが商社の接待施設にあるお店で。それまでは髪が茶色くても何も言われなかったのですが、そこに配属されたら髪は黒で、お化粧もちゃんとして口紅も塗って……と決まり事が厳しくて、きちんとしていないといけなかった。でも、私はきちんとしなかったんです(笑)。

当然目を付けられてチクチク言われましたし、いじめのようなこともありました。みんながお互いの悪口を言い合っているような職場で。だけど私は、そういうのって心が狭いなと思ったし、それに染まるのも嫌だったから、一匹狼のような感じで一人で過ごしていたんです。そんな私に賛同してくれる人たちもいたけれど、それを面白くないと思う人たちからはさらに嫌味を言われたりして。

今:それは辛い。ストレスがたまりやすい環境ですね。そのお店には何年ぐらいいたんですか。

和:3年はやったかな。そういうことで辞めるのは嫌だったから、とりあえず3年はやってやると思っていましたね。だけどそういう状況だったから私もすごく疲れていて……。そんな時にたまたま来たのがこのカフェでした。

今:そうだったんですね。カフェに行くのはもともと好きだったんですか。

和:カフェ巡りが好きな友達がいて、その影響で目覚めた感じです。カフェの接客を見ていたら、自分がやっていた日本料理屋の接客とは全く違っていて。「こんな世界があるんだ!」って思いました。こういう接客もいいなって。

今:そう思った後、このカフェで働くことになったのはどんなきっかけだったんですか。

和:その頃は日本料理屋の仕事に本当に疲れてきっていて……。3回目ぐらいにこのカフェに来た時に「私、もうここで働く!」って思ったんです。

募集しているかどうかも聞かずに、「履歴書持ってきたんですけど、募集してますか?」って聞いたら、面接してもらえることになりました。特にスタッフは必要なかったのでオーナーは落とすつもりだったらしいのですが、その次の週に面接して、雇ってみようと思ったみたいです。

それから日本料理屋は平日週4日のアルバイトにして、土日はこのカフェで働いて、週1日は休みという形でやっていました。

今:雇用の形態でいうと正社員から非正規雇用になったわけですが、不安はありませんでしたか。

和:全くなかったですね。疲れ果てていたからかな、逆に自由になれると思いました。日本料理屋は、ああしなくちゃいけない、こうしなくちゃいけないという作法がいろいろあったけど、ここのカフェでは思った通り好きにやっていいよという感じでしたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


今:
実際にカフェで働きはじめてみて、どうでしたか。

和:日本料理屋とカフェではお店に来るお客さんも全然違っていて、日本料理屋の接客はきっちりかっちりという感じだったけど、カフェではお客さんとフレンドリーに話してもいいし、柔軟にできて、全てが楽しかったかな。

私にとっては日本料理屋のようなきちんとしたところよりも、こういうくだけた感じのカフェのほうが居心地がよくて、やりやすかったんだと思います。それに、それまでとは全く違う世界が本当にすごく刺激的でした。こんな世界もあるんだなって。

今:日本料理屋にはない、カフェならではの難しさはありましたか。

和:日本料理屋の固い接客に慣れていたから、どこまで柔軟にしていいかわからなくて、最初の頃はよく「固すぎる」と言われていました。もっとくだけていいと言われても、どこまでくだけていいのかもわからなくて。この言葉遣いは失礼じゃないかなって気にしたり。

だけど、日本料理屋でやってきたことがベースにあるからこそ、フレンドリーで柔軟な接客をすることもできるし、こまめに気づくこともできると思うんです。日本料理屋での接客はとても勉強になったし、本当に大切な時間だったと思っています。

今:型を学ぶっていうことも、やっぱり大事ですよね。