roles 01. ただいま育児奮闘中 子育てママさんイラストレーターの将来設計

私たち rolesにできることを考えたとき、
はじめに出てきた答えが、人と会うことでした。
100人に会えば、100通りの生き方が見えてくる。
自分らしい人生を模索しているみなさんのお仕事、夢、家庭、
それぞれのライフストーリーをのぞきにおじゃまする、
そんな連載企画の1回目は、
ただいま一児、もうすぐ二児のお母さんになられる、なった!
フリーのイラストレーター 時田さんです。
聞き手:今國朋 編集・構成:金倉英明

今回のroles人 … 時田真奈

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1980年うまれ
多摩美術大学 情報デザイン学科卒業後
ぬいぐるみメーカーのデザイナーを経て、現在フリー。
取材時は一児の母として育児奮闘中、でしたが
この度、第二子がお生まれになりました。
どうもおめでとうございます!

編集者に持ち込んだり、展示会を開いたり……
自分を売り込んでいくのは、自分に向いていないと思って就職しました(笑)

今國(以下 今):現在、一児の母、もうすぐお二人目のご出産も控えているということですが今、フリーとしてのお仕事はどのように行っているのでしょうか?

時田(以下 時):来た仕事を出来る分だけありがたく受けている程度です。自分から(営業)活動はしていません。フリーの仕事を始めた頃から、紹介がほとんどですね。

今:紹介がほとんどって、すごいことですよね。

時:友達や紹介いただく件に関しては、基本的に恵まれているなと思う。そういえば、長年年賀状の素材集のお仕事をやらせてもらってるけど、それも元々は卒業制作を見に来てくれた人が声をかけてくれたのがきっかけでした。

今:作品に対するファンがいるからこそですね。

時: いやいや(笑)

今:でも、実際イラストレーターって、自分で営業をして仕事をもらってくるパターンが多いと認識しているのですが?

時:そうですね。作品集を編集者に持ち込んだり、展示会を開いたり、デザインフェスタなどのイベントに出展したりして、見てもらう場を増やしたり。何にしても、自分を売り込んでく感じだと思います。業界の知り合いが周りに多ければ、可能性は増えていくと思うんですが、私は、それが自分に向いてないと思って就職しました。(笑)

今:自分で気づいたんですね。(笑) 向いてないと思ったのは、いつ頃のことですか?

時:卒業後です。就職活動の時は、当時文具が好きだったこともあって、文具業界の企業を幾つか受けていました。で、その中でも志望度の高い企業があったんですが、結果最終で落ちて。今思うと、そこで力尽きたのかな(笑)

今:燃え尽きちゃったかんじですね。

時:そう。(笑) その後就職活動自体をやめて、なんとなくそのまま卒業して、実家に帰って、なんとなくフリーな道を歩む感じでいたんですが…でも、苦手なことに気が付いて。
例えばお金の交渉とかもそうなのだけど、自分を「売り込む」ということが、自分の作品を「これいいでしょ!」って言うのが、どうも苦手で。

今:対価が発生することや自分の作品をアピールすることに対して、ためらいがあるのかな。

時:いいのか悪いのか、お金に対しての欲がなかったですし、作品に値段をつけるのは自分では無いという感覚・価値観を持っていました。そもそもそこまで作品に自信がある訳でも無かったんです。あと、いつまでも実家にいながら月日が流れていくのもダメだなあと感じて卒業から一年が経つ前に、就職しました。

今:卒業して、実際にフリーという立場に身を置くことで、色々なことを発見することが出来たんですね。

時:今思うとそうなんですよね。

取材中。親子でパソコンを眺めつつ。

取材中。親子でパソコンを眺めつつ。

今:会社にお勤めの頃からフリーの仕事を受けていたということですがそれはやっぱり、いずれはフリーでやっていきたいという気持ちがあったからでしょうか?

時:そうですね。いずれはフリーでやれたら良いなあ、くらいの気持ちは確かにありました。例によって自分から活動はやっていなくて(笑) 声が掛かったら引き受けるくらいのスタンスでやっていました。でもまあ……ずっと会社にいるのは違うなあと思ってた。
いつかは。自分が本当に好きなことを見つけたかった。でも、長く居ようとは思っていたんですよ。ひとりの作り手として、会社の中で成長したかったですし。

今:なるほど。お仕事のフィールドの中で成長も望んでいたし、その先のことも、なんとなくではあるけれど、考えていたんですね。

時:うん。本当にそう。

今:前社では成長できたと思いますか?どんな成長がありましたか?

時:成長は、本当に。感謝しても足りないくらいです。
一番は、売れるものをつくるという強い意識。提示される条件に対する応え方は大事だと思います。この辺、大学で学んだところではあるんですが、やっぱり社会に出ないとわからないことも多かった。

今:アーティスト志向を強くお持ちの方の場合、会社員としてお仕事をしていく上で、自分の理想との乖離が発生してなかなか大変だと思うのですが、時田さんの場合、実際、働き始めての葛藤は少なかったのでしょうか?

時:自分が居た会社は、いきなり表舞台に出してくれたから、本当に色々学べたと思います。葛藤かあ……そこはすんなりというか、そういうものだと思っていたから問題なく馴染めました。アーティストとデザイナーって違うもので、そう考えると、私は元々「人に求められるものをつくりたい」気持ちが大きかったのかも知れません。

今: 自分のキャリアを考える時、そういう意識は大きなポイントですね。昔から「人に求められるものをつくりたい」と思われていたのですか?

時:(少し考えて) …高校生、くらいからかな。卒業生に贈る記念品のデザイン案を出したとき、数点用意していったんですが、自分が気に入ったものではない作品が選ばれたんです。今、お話しながら気づいたことですが、恐らくそれがきっかけだったと思います。