roles 03. 紆余曲折を経て行き着いた 一生関わりたい森林の仕事 その1 (No.2)

社長の隣で会社の中心に触れて

今:その次はどんな軸で転職を考えたんですか。

野:3社目もプライベートの音楽活動を軸に考えました。このころも日々の練習スタンスは学生時代と変わらずで、音楽はずっとやっていきたかったから。この会社は渋谷にオフィスがあって、打楽器の練習スタジオにも行きやすかったし家にも帰りやすかったから、場所で選んだかな。定時であがれるし、事務だからそれまでの仕事も活かせるし、ゲームの制作会社だったんですけど、私には男兄弟がいてゲーム好きだったというのもありました。

今:なるほど。立地もいいし、音楽をやる時間も取れるし、業種的にもよさそうだったわけですね。仕事自体はどうでしたか。

野:仕事内容は事務全般でしたが、すごく面白かったですね。

今:1社目も2社目も事務の仕事でしたよね。3社目は何が違っていたんですか。

野:すべてにおいて、社長との距離が近かったことかな。それまでの会社では、社長っていうとすごく遠い存在だったし、会社のことを自分ごととして考えることもありませんでした。でも3社目は、会社が大きくなってきて社員も20人ぐらいに増えたからそろそろ事務を雇うか、となった時に入った初めての事務だったんです。

だから、それまで社長が全部自分でやっていた事務を私が引き継ぎました。最初の席は、まさかの社長の隣。その分社長と話す機会も多くて、会社をどうしたいとか、社員のためにこうしたいとか、そういう話もダイレクトに聞けました。

私はそれをずっと隣で聞いてきて、社長の思いを知っていたから、これをみんなに伝えなきゃという気持ちもすごくあって。それでこの会社にいた時は、「お母さん」って呼ばれていたんです(笑)。

野口直子さんインタビュー風景

今:経営者との距離が近いというのは、すごい刺激ですよね。

野:すごい刺激だったし、会社の中心に触れられるということ自体、それまでにはなかった経験でした。入社前の面接で初めて社長に会った時は、髪はボサボサだし、ダボダボのセーターを着ていて(笑)。でもそんな社長が、口を開けば素晴らしいことを言うんです。働ける環境をよくしていきたいとか、会社をこうやってこれだけ大きくしていきたいとか。第一印象とのギャップに面白みを感じたし、年下なのにすごいなっていう尊敬もありました。

今:他にも前の2社と違ったところはありましたか。

野:前の会社は「安定的に事務をやってくれればそれでいいよ」というスタンスでしたが、この会社では全部任せてもらえました。「好きにしていいよ」というか、「やっちゃってください」みたいなところが楽しかったな。その会社で初めて採用された事務が私だったから、全部自分でつくっていかないといけないのも面白かった。

今:ないものをつくり出していくというのは、前の2社にはなかった過程ですね。

野:打てば響くというか、自分がやれば変わるというのは面白かったですよ。私が入った時は、お茶コーナーが散らかったままだし、台所の汚れやスリッパの散乱状態などもひどかったけど、そういう社内環境の些細な改善を喜んでくれる社員がいたのもうれしかったですね。

ゲーム制作側が頑張らないと、事務はお給料がもらえないこともあって、その人たちのために頑張ろうっていうモチベーションもすごくありました。大ヒットしたソーシャルゲームのリリース時なんかは、朝一番に私が行くとみんなが小さく丸まって寒そうに寝ていたりすることもあって、「うわー、今日も徹夜してたんだ……」って。朝、疲れ果てた人が何人も転がってる会社は初めてだったから衝撃を受けたけど、そういう姿を見ていると、私も頑張らなきゃなって思いました。

今:ゲームが売れた時は、すごくうれしかったんじゃないですか。

野:本当に楽しかったですね。人が足りなかったので、私もユーザーサポートのお手伝いをしていたんですが、ユーザーから送られてきたメールに「キャラクターがかわいいですね」なんて書いてあると、それを大声でみんなに伝えたりして。「かわいい、いただきました!」とか「面白いって言ってるよ!」とかって私が発すると、みんながワーッと盛り上がって喜び合う感覚がすごくよかった。現場の人たちや会社との一体感が、楽しかったんです。

〈次回に続きます!〉
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