roles 05. 自分らしく、自由に、心地よくいられる生き方を模索する

今回の企画は、自分らしい人生をたどるうちに
独立して仕事をするようになったお二人の対談です。
いろいろな実体験を重ねる中で、周囲にも伝えたいと思えるヨガに出合い、 ヨガスタジオを経営している高山育美さんと、
日本料理屋で接客をしている時に訪れたカフェで、同じ飲食店でも全く異なる接客の世界があることを知り、
現在は自分でカフェを経営している和田里美さん。
縛られるのが苦手で自由でいたいという二人が模索してきた、自分らしい生き方とは……。
聞き手:今國朋 編集・構成:木村恵理

今回のroles人 …高山育美

みんなのroles〜100人インタビュー

1980年うまれ
マナヨガ代表
化粧品の販売や携帯電話ショップの仕事などを経て、
現在は、忙しいライフスタイルの中でもふらっと立ち寄れる
少人数制のヨガスタジオを都内で経営。

今回のroles人 …和田里美

1980年うまれ
ulalaka店長
日本料理屋での接客の仕事を経て、カフェのアルバイトに転身。
そのカフェを引き継いでオーナーとなり、
現在は、ゆったりした時間を過ごせる憩いのカフェを都内で経営。

自分のことって、いろいろやってみて初めてわかる

今國(以下 今):最初はどんな仕事をしていたんですか。

高山(以下 高):私は化粧品会社です。地元のショッピングセンターで美容部員をしていました。初めての仕事だったから接客のことなんて何もわからない状態だったけど、それでもやっぱり売上は求められるし、女性ばかりの職場で先輩にはいびられるし……結構大変でした。

今:そういう中でも、仕事自体には楽しさもありましたか。

高:自分が接客をして化粧品が売れた時は楽しかったですね。「あら、これいいわね。いただこうかしら」って言われると自分が認められたような感覚もあって、うれしかったです。

だけど先輩たちからはお化粧の仕方についてとか、「まだまだよ」っていう感じでいろんなことを口うるさく言われました。「すみません」って言いながら、心の中ではそんなの必要ないのに、って思っていましたけど。私はそういうものに縛られるのがあんまり好きじゃなくて、美容部員の仕事は1年ぐらいで辞めました。

和田(以下 和):私は専門学校の時に実習で行ったホテルで和食の接客を経験して、それがすごく楽しかったので日本料理屋に就職しました。だけど、そこでの接客は決まりが厳しくて、先輩とかからはやっぱり嫌味みたいなことを言われたりもしましたね。
実習で行ったホテルは地方にあったので、遊びで来ているお客さんが多くて雰囲気も楽しかったのですが、就職した都心の日本料理屋は仕事で利用している人も多かったのでいつもきちんとしていないと駄目で、窮屈さもありました。私も縛られるのが苦手なんだと思います。

その後、たまたま行ったカフェで接客のアルバイトを始めて、「こんな世界もあったんだ」と知って。自分なりに自由にやるのが好きなんですよね。カフェの仕事はすごく楽しかったです。

高:自分のことって、自分ではなかなかわからないんですよね。20代の時はいろんなことをやりながら自分が思うほうへ進んで行くんだけど、30代を過ぎてからそれを振り返ってみてやっと「ああ、自分は自由人だったんだな」って気づく。人のことはよくわかるのに、自分のことは気づくのが難しいなって思います。

高:携帯電話の販売員とか、グルメ情報サイトの仕事とか、派遣でいろんな仕事をやりました。仕事をしながら、ネイルのスクールにも行っていました。多分、何か自分らしいものを見つけたかったんだと思います。

今:そうやっていろいろやってみて、今はヨガスタジオを経営されているわけですが、ヨガを始めたきっかけは何だったんですか。

高:初めてヨガに行ったのは25歳の時です。体を引き締めたくてジムに行っていたんだけど、冬になったら水泳は寒いなと思いはじめて。そんな時に行ったのが、ホットヨガだったんです。あったかくて冬でも行きやすいし、これはいいなと思いました。はまり出したのはそこからですね。

今:いろいろやってきた中で、ヨガがそんなにしっくり来たのはどうしてなんでしょうね。

高:やっぱり気持ちよかったからだと思います。ヨガは体にもいいんだけど、それ以上に気持ちがさっぱりとリセットされるのが本当にすごく心地よくて。もっと深く知りたいなと思って、ヨガの学校にも行ったんです。呼吸を深くすることと、それに合わせて体を動かすことを学んで、それがすごく気持ちよかったんだとわかりました。

自分がいいなと思ったことは周りにも提供したいから、学校に通っている間からもう「ヨガスタジオをやりたい」ってみんなに言っていたんです。そうしたらたくさんの人が賛同してくれて、去年恵比寿で小さなスタジオを始めました。

今:自分が実際に体験してみていいなと思ったものを提供したい気持ちがあるんですね。

高:そうですね。やっぱり自分で実体験しないとわからないから。素敵だなと思ったことでも、提供する側に立つことが自分に合っているかといったら、想像とは違うこともあるし。

ネイルスクールに行った時も、周りからは「どうせ続かないからやめなさい」って言われたんですけど、自分がやりたかったからやってみて、それでやっぱりこれは何か違うなっていうことがわかりました。


和気あいあいと話す二人。

和気あいあいと話す二人。



他と同じことをやってもつまらない

今:体験してみてよかったものを他の人にも広げたいと思うのは、人に喜んでもらえるのがうれしいからですか。

高:多分そうだと思います。自分が好きなものを提供して喜んでもらえたら、やっぱりすごくうれしいですよね。だからスタジオでもヨガの技術を提供するだけではなくて、その人のライフスタイルの中で気軽に気持ちよくなってもらえたらいいなと思っていて、手ぶらでもふらっと来てもらえるように無料のレンタルウェアも用意しています。「これがなきゃ駄目ですよ」「こうしなきゃ駄目ですよ」というよりは楽しんでほしいなと思うし。

今:本当に人に喜んでもらえることがうれしいんですね。

高:そのために何ができるかなっていうことは、よく考えていますね。最初に一人ひとり求めていることや目標をしっかり聞きこみますし、その日ごとの体調や気分なども全部カルテに書いています。人の体は日によって全然違うから、状態に合わせてあらかじめ考えていたポーズをガラッと変えることもあります。

ヨガも一つのスポーツだから、けがをしないことが一番大事だと思うんですよ。体の状態は一人ひとり違っているから気をつける部分もそれぞれ違うのですが、20人も30人もいるとそういったこまやかなケアが難しいこともあって、今は少人数制でやっています。

今:そこまで個人に合わせてプログラムを組んでくれるところって、なかなかないんじゃないですか。

高:そうかもしれません。でも、だからこそやりたいと思ったんですよね。やっぱり他にないものを提供したいから。

和:どこにでもあるものだったら、他に行ってもいいわけですからね。食事のできるお店でも、お肉やお魚を出すところはたくさんありますが、野菜だけをたくさん取れるところは意外とないので、うちのカフェはほぼ野菜だけのお店です。お肉やお魚を求める人が多いっていうことなのかもしれないけど、中にはそういうお店があってもいいんじゃないかなって。

今:どんなメニューがあるんですか。

和:野菜のあえものとか、豆乳のポタージュとか……。例えば、ベーグルサンドというとBLT(ベーコン、レタス、トマト)とかスモークサーモンとかのイメージがありますが、そういうものならどこのお店でも食べられます。だからうちは野菜だけのサンドを出したりしていて。もちろん食べごたえもしっかり感じられるように工夫しています。

高:周りにあるものを同じようにやってもつまらないと思うのは、私も同じですね。何が楽しいって言ったら、やっぱり周りにまだないもの、自分も欲しいと思うものを探して、それを提供したときに喜んでもらえることだと思うから。